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リクルートのDNA (2)


前回のエントリでは、人材輩出起業としてのリクルートの仕組みについて記したのですが、経営者としてどう指導していたのか?読んでいて気付いた事を記しておきたいと思います。


外飯・外酒

「社員は社員同士の付き合いが多くなりがち、視野を拡げるために、心がけて社外の人との会食などの機会を持つ様に」と呼びかけていた。

イノベーション発生環境の要素の1つとして、社員に対する刺激というものがあります。社員同士では刺激がなく、新たなる発想や気付きも起きにくい。社外からの刺激が最も効果的なものという指摘があります。そういう意味で、この「外飯・外酒」は計らずも刺激を意味していたと(勝手に)解釈しています。


少数が精鋭をつくる主義
優れた会社か否かの尺度は生産性の高さである。つまり、一人当たりにしていくらの収益を上げているのかが、企業経営にとって最も重要である。
<中略>
少数精鋭のリクルートは一人で数役を受け持つ。
<中略>
一人がいくつもの役割を担当することで、視野が広がり、仕事の優先順位も覚える様になり、経営者が育つという考え方をとっていた。

ベンチャーは人の働き方が成長のキモである事を考えると、人材輩出の理由でもあり、企業成長の原動力ともなる、この「一人複数役」という制度がリクルートの特徴の1つだろう。また、計らずも企業の尺度がその「生産性」にあると指摘している点が、先のPC制度の尺度だったり、事業の尺度なのかも知れない。

また、こういう一節もあった。

四半期毎に事業部門の幹部が集まった席で目標設定会議を行っていたが、私は常に過去の延長線上では達成出来そうにない高い目標を要望した。そのたびに、集まった事業部門のPC長には「そんなの難しいですよ」「そんな数字無理ですよ」などと言われていたが、私は「できるようなやり方を考えて達成して欲しい」と言っていた。

以前のエントリにて書いたように、「控えめな約束では成功しない」「(経営で)達成感を持ったりしたら、危険信号と思わなければならない。」に通じる部分があり、少数精鋭という意味だけでなく生産性の最大化など、そのままの軸では成功しないという事を示した好例かも知れない。

最後の起業家としての心構えを以下の2つで見た気がする。

企業はボトムアップ、撤退はトップダウン

全社員を対象に毎年新規事業の提案を募集していた。提案は百件以上。そのなかから良さそうなものを選んで、提案者を事業責任者にして、事業化していった。
<中略>
(撤退後)その後の彼らのことが気になった私は、一ヶ月後ほどして社内を回り撤退に反対していた人達に聞いた。
<中略>
誰もが明るい表情で、新しい仕事に打ち込んでいた。その姿を見て「撤退はトップの決断である」と痛感した。


私の経験から言える事は、経営者(トップ)もまた1つの職能ということである。
<中略>
ときに攻め、時に守る「攻撃と防御」の両面に強くなくてはならない。このような多面的な要素を求められるのが経営者の職能である。したがって経営者は孤独である。
自ら起業した経営者はそのことを熟知している。しかし、新入社員から組織のピラミッドを上って来た人の多くは経営者になった初めてそのことに気付く。
<中略>
いずれにしても起業家が経営者である企業は伝統的な企業よりしたたかである。

以上、価格の割に含蓄の深い本だったと思う。


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アット・ニフティストア

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