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新幹線ガール − 「好きこそものの上手なれ」の証明手順書


ちょっと前のベストセラーを(中古で値が下がったからというわけではないが)読んでみるというのをやっている。流行っている時代背景などがあるのだろうが、それでも純粋に面白いものは面白いはず。

さて、表題の本だが、この本のストーリーとしては、以下の3要素が合体したすばらしい本だと思う。
1. 「好きこそものの上手なれ」という言葉は真実だという事が明らかになる本
2. 自分のやるべき事を見つけるためのロールモデル探しに参考になる本
3. 顧客ロイヤリティとは何か?考えさせる本

そして、この本のメインテーマだが、自分が何故その仕事に向いているのか、どうしたらそれが分かるのかが順を追って書かれている。働く事への不安や勇気が必要な事、長続きするだろうか?といった心配に対して「まずは好きなんだと思ってやってみる」感じがとても素直で壮快だ。

梅田望夫さんの「ウェブ時代をゆく」の中に「ロールモデル思考法」という紹介がある。そこには自分の好きを発見する事の難しさと、その難しい事にいかに試行錯誤を繰り返して見つけ出すのか?根本的に「好きな事」を何故見つけ出さないといけないのか、が説かれている。

その一番のやりかたとして「人生のあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集する」とある。本書でも、アルバイトから正社員に応募する時に「その仕事の嫌いなところを探してみる」とロールモデル思考法を実践している。

新幹線のパーサーには、お客様によってサービスの差をつけるなんて事はあり得ません。「自由席だろうがグリーン席だろうがお客様には変わりない。どんなときでも相手が誰でも同じように最高の接客をしなければならない」 研修でもそう学びましたし、実際に先輩もそうしています。お客様を大切にするところ、そして現場で働くパーサーたちが会社に意見を言えるような雰囲気が好きでした。何より、お客様との触れ合いが心から楽しいと思えます。「楽しく仕事ができる」というのはなにごとにも替えがたいことです。
新幹線ガール 第六章 フリーターから P162 より
お客様との触れ合いが何より好きというのは、その後の「顧客ロイヤリティとは」を考えさせるシーンでも生きてくる。その顧客ロイヤリティを醸造するシーンでは…

顧客ロイヤリティ醸造の基本的な考え方として、この本にも出てくる言葉でしごく当たり前のフレーズがある。

お客様の満足度を上げれば、売り上げはそれについてくる。

これは経営サイドの強い意志に支えられないと出来ない会社の方針である。(強い意志がなければ体現出来ないという意味)売り上げ数字は直接的な「物差し」だと思われるので、ついついそれで測って、すべての物事を判断してしまう。つまり「売り上げがお客様満足度の指標」となって一人歩きするのだ。
実際には「お客様満足度を測る1つの指標が売上」に過ぎない。実際に、このブログで何度も取り上げているが「従業員満足度」も「お客様満足度を測る1つの指標」だろうし、他にも様々な指標があるだろう。

さて、少々話がややこしいので、本の話に戻るが、この強い顧客ロイヤリティ指向は、競合である「航空会社のキャビンアテンダント」がロールモデルになっていることが分かる。新幹線と飛行機では絶対的な差がない、という現状では「サービス」が唯一の差別化要因と位置付けている。そのための最高を目指す事がよく分かる。

本書の第四章「ワゴンの裏側で」と第七章「売上ナンバーワン!」には、お客様をどれだけ見ているかがよく分かる。売上ナンバーワンとなった事が、本書発行の機会だったのだろうが、そのプロセスと背景となっている「お客様をどれだけ見てるか」という部分がキモだと思う。
例えば、この本を読んでいると、乗客である我々が思っている以上に、我々乗客は見られていることが分かる。お客様の想定範囲=期待度を上回らないと、お客様が喜んだり満足したりという事はない。これは以前に紹介した「ディズニーに学ぶ満足循環力 「お客様満足」+「社員満足」の秘密」にあるモデルである。

そしてCSによりお客様の喜びがESを生んでいくという相互スパイラルを生む。その結果として売上がついてくる。だから何が何でもCSとESの相互スパイラルを生まないと売上(利益)はおろか、企業の存続すら危うい事になるのだろう。

非常に読みやすい本だったので、外出の時の移動中にも電車の中で読んでいた。ふと目を上げると、京浜東北線に並行して走っている新幹線が目に入った。本当にこの新幹線を好きな人達が、この新幹線を動かしているのだろうなぁと見送ってしまった。



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アット・ニフティストア

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