世界で一番厳しい日本の労働環境?−でも生産性はどうなんだろう


偶然だが「ヨーロッパ人」「シリコンバレーで働く人」「日本のサラリーマン」の働く状況について、相対的に比較できそうな記事を見つけ、ひょっとして日本人サラリーマンが一番キツイのかも?と思ってしまった。

ヨーロッパ人は2時間のランチを主張する―それではスタートアップはやってられない」というTechCrunchの記事はヨーロッパ(特にパリ)の働く様子が伺えて面白かった。

カンファレンスの主催者、Loic Le Meur (フランスの起業家で、彼の最新のスタートアップ、Seesmicを運営するためにシリコンバレーに移住してきた)は、シリコンバレーは夢中で働きすぎだと述べた。ヨーロッパ人は生活の楽しみを求めてランチに2時間はかけるというのだ。
<中略>
2時間のランチは楽しい。しかし起業家は投資家と従業員(そして、その家族)に責任がある。何かを犠牲にしなければならない。ヨーロッパでもっとも仕事熱心で、もっとも成功した起業家の多くがシリコンバレーに移住してくるのはそれが理由だろう。こちらに来ればそういう働き者の仲間が大勢見つかる。

ヨーロッパ人は2時間のランチを主張する―それではスタートアップはやってられない

つまり、ヨーロッパ人からすればシリコンバレー人は「働き過ぎで余裕がない」と見えてしまうのだろう。逆にシリコンバレー人からすれば、ヨーロッパ人は働く真剣みに欠けると見えてしまうのだろう。

私もネット系企業に勤める身なので、どちらかと言うとシリコンバレー・スタイルだと思っているので「それじゃぁ、ヨーロッパでネット系企業が大きくならないよ」なんて思ってしまうものの、2時間のワイン付きランチは正直「羨ましい」気がする。

さて、それと偶然同じ日に見たブログエントリに、こんなのがあった。

ここではシリコンバレーから着た人が、日本人サラリーマンの「過激な」働きぶりに、とても驚いている様子が書かれている。

Here is the schedule of my colleagues in Japan, and this is entirely typical in Japan: come in to work at 9 AM, on the dot, after a standing-room-only commute on a very crowded train lasting an hour or more, often changing 2-3 trains along the way. Lunch around 12:30 to 1 - usually a quick affair, often at their desk, so it is not even much of a break. Work till at 8 to 9 PM, with many folks staying in the office as late as mid-night, catching the last train, another hour spent commuting (trains are crowded even at 11 pm on week days!). If it is an important customer, you go out to dinner with them (add 3 hours!), and that means last-train-if-you-are-lucky and the last train is usually even more crowded. Yet, they are back at 9 AM next morning, impeccably dressed. I estimated that most of my colleagues cannot be getting more than 6 hours of sleep a night, and that’s assuming they do nothing at home after work other than sleep - which is what I did most of last week. I was so exhausted every day, all I could do was get to my apartment and just sleep.

【意訳】ここに私の日本での同僚のスケジュールを紹介しよう。ただし、これは日本の典型的なものだと思って欲しい。9時から働き始めている。立ち席しかない、とても混んでいる通勤電車に2〜3回乗り換えて、1時間かそれ以上かけて出社してくる。12時30分から1時まで昼食で、とても急いで机の上ですます事が多い。午後8時か9時まで多くの人がオフィスにいて、ついに深夜にまで至る。終電になんとか乗り込み、11時だと言うのにとても混雑している電車で帰る。
もし重要な顧客がいたら、外出して3時間ぐらいはディナーに行き、運が良ければ終電に乗れる。そして翌日朝の9時にちゃんと出社しているのだ。
私は同僚が6時間程度しか寝ていないのだと推測している。もう私は毎日がウンザリで、私はただ自分のアパートに戻って寝るだけなのだ

Silicon valley works hard? Try Japan …
意訳:シリコンバレーはとても厳しい?じゃあ日本で働いてみたら?

この後にインドからの同僚の様子なども交えて紹介しており、いかに日本のサラリーマンがタフであるのかが伺える記事になっている。

つまりシリコンバレーから来た人でも音を上げるぐらいハードな労働なのが日本人サラリーマンなのだろう。これは先のヨーロッパ人等と比べると「日本人サラリーマンは最強」 という結果になる。

だが、冷静に考えれば最強でも何でもなく、単に異常なのではないか?などと考えてしまう。特にこのブログのコメントも秀逸だ…

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ランディ・パウシュの最後の授業 − 自分は何を残せるのか


世の中でどれほど話題の輪が広がっているのかわからないのだが、同僚からとても感動的な話を聞いたので、その同僚のお勧め通り、まずはYouTubeから全編(1〜9)を見た。 多少のネタバレはご容赦頂くとして、考えさせられた事を記したい。なお、しつこい様だが、人によって楽しみ方があるだろうから、あくまでこれは私の感想である。 2〜3年前だと思うが、「万が一にも、残りの寿命が数ヶ月とか言われたら…」と考えた事が少しだけある。生命保険を切り替えた時に、ライフステージに合わせた保証金額を準備しないと、妻や子供達が困ると言うのだ。でもそれは一般的な数値的統計データで裏付けされた「計算表」でしかなく、私や家族の人生とか、そういう話とは実は無縁だ。だが、本当に自分の寿命が何の形で尽きるにせよ、その後について考えた時間だった。

このビデオを少しだけ見て、あまりの面白さに、平日の夜に見るのは夜更かし危険と判断して、土曜の夜に一気に見る事にした。それで、その面白さと共に私の脳裏にずっと居続けたのが、自分があと数ヶ月しか生きられないとしたら…という思いだった。
きっと、ランディ・パウシュ教授自身、そのショックとか事実を全て飲み込んで、そして行った「最期の授業」がこれなのだろう。

そしてもうひとつ自分自身で考えさせられたのは、自分は「何を残せるのだろうか?」という思いだった。この授業もかなり準備したのだろうが、私だったらどう準備して良いかさえ分からない。多くの人と同じく、私も何も残せないのではないか?という思いとか危惧だけだった。

その時にふと思い出したのが、以下のフレーズである。


When I was 17, I read a quote that went something like: "If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right." It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.
'You've got to find what you love,' Jobs says
17歳のとき以下のような引用文を読んだ。「毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずひとかどの人物になれる」。私は感銘を受け、それ以来33年間毎朝鏡を見て自問している。「今日が人生最後の日だとしたら、私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか」。そしてその答えがいいえであることが長く続きすぎるたびに、私は何かを変える必要を悟った。
スティーブ・ジョブズのスタンフォードでの卒業式スピーチの日本語訳

そう、生きている人間はやはり「人生最後だとして悔いがないのか」がテーマとして日々を生きて行く事が、本当は大切な人生の「やり方」なのかも知れない、という思いを強くした。

(後半はかなりネタバレなのでご注意を…)

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「脱ゆとり」は米百俵にならず


昨日のエントリでは、人間は危なくなると(今は何とかして)次の世代に全てを託す。それは動物的な反応/対応かも知れません。そうした次世代にこの国を託す、最も大事な作業として、教育があります。

元々「真面目」な国民性からか、教育に対する感心は高く、そうした中で国際的な学力調査でトップクラスの成績をあげるフィンランドの教育への関心が高まっています。

朝日新聞2008年3月2日に「学力世界一のフィンランドに学ぼう」をテーマにした福田誠治・都留文科大学教授の講演記事が掲載されていました。
(なぜかこのあたりの情報は一切インターネットには存在しない。このあたりがなんとも…)

テストの点を比較する様に、経済協力開発機構(OECD)の開発したPISAという学習到達度調査の平均スコアを国際比較して、日本が「ゆとり教育」と称した教育時間削減方針を改めたのはご存知の通り。ちなみにフィンランドは、Reading: 2位(1位:韓国、15位:日本) Mathematics: 2位(1位:台湾、10位:日本) Science: 1位(6位:日本)という状況である。

だが、この学習到達度調査は「学力調査」などでは決してない。教育時間を増やして覚える事を増やして、このスコアが上がるとは思ってはいけない。

また、そもそもこのスコアは以下のような背景と意味を持つ。

PISAができた背景には欧州の変化がある。OECDは第二次世界大戦後の欧州の復興を目指してできた組織だ。EU(欧州連合)ができ、人々が国境を越えて移動するようになり、多様な人が共存するための「協同の知」が求められる。
PISAが問う読解力とは、言葉を使って何ができるか、いわばコミュニケーション力と思考力だ」
つまりこの十数年で世界は学力観を変えたのだ。その時代を先取りしたのがフィンランドだった。
朝日教育セミナー「学力世界一のフィンランドに学ぼう」

確かに考える力、コミュニケーションで解決する力、そうしたものが今現在のビジネスシーンで最も求められている気がしている。日本は決して低くないが、より高めていく必要のある能力の1つだろう。

それから、OECDはあくまで欧州の基準を元にしたものだ。やたらと点数が悪いとか低いとか言われて気になるだろうが、あくまで欧州の基準だという視点も大事だ。
OECD側からはかなり厳しい苦言が呈されている…

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